スタッフBlog

2018.5.3

和風のウンチク:厚くて幅の広い無垢板を床に張る方法(菅野)

2018.5.3

Category: 知って得する和の技

「リビングの床はどんな仕上げにしますか?」
「フローリングにしてください」

最近はフローリングという名称が一般的ですが・・・日本建築では、縁甲板(えんこいた)と呼びます。

板の両端に本実(ほんざね)加工が施してあり、オスとメスを組み合わせながら張っていきます。


△本実加工

最近は、先ず合板を張り、その上にフローリングを張ることが多くなりました。
下地に合板が貼ってあれば、どこにでも釘が打てるので、作業のスピードが上がります。

「材料を惜しんで手間をかける」より「手間を省くために材料をふんだんに使う」ほうが、経済的なのです。


△合板の上にフローリングを張る

ただ、こういう張り方ができる無垢材のフローリングは、厚み15mm×幅15cm程度までです。

一般的なフローリングの裏面には反り防止の加工が施されていますが・・・


△右が表、左が裏面の反り止め加工

板が厚く、幅が広くなると、その程度ではとても反りは止まりません。


以前、厚3cm×幅30cmのケヤキの縁甲板を床一面に張りました。
この時は、板の裏に吸いつき桟と呼ばれる角材を蟻継ぎ(ありつぎ)で取り付けました。


△吸いつき桟

「しっかり乾燥させれば、反らないよ」なんて言う人がいますが・・・自然の素材を侮ってはいけません。
吸いつき桟を床組みの根太一本おきの間隔で取り付け・・・



吸いつき桟と根太を固定しました。



これで、反りはほぼ止まりますが、板同士の隙間は防げません。乾燥の具合によって、隙間の幅が変化します。遊びなく張ると、板が持ち上がってくることさえあります。

「天井の杉節板張りをクロスに変更してもいいですか?」現場監督の言葉に目を丸くしたことがあります。

木を扱い馴れていない大工に板を張らせたところ・・・数年後に天井が波打った経験があるとか。ちょっと情けない現実です。

記事一覧