2019.10.1
木造が建ち並んでいる境内に新築。見落としがちな敷地内通路(川島)
2019.10.1
Category: 本堂新築
愛知県の臨済宗寺院で、
地階に納骨堂、地上に木造平屋建ての本堂と2階建ての位牌堂棟を新築する計画を進めています。
地階に納骨堂、地上に木造平屋建ての本堂と2階建ての位牌堂棟を新築する計画を進めています。
約3000㎡の境内には既に、客殿・庫裡・会館・茶室など、約835㎡の木造伽藍が建っています。
そのため、新築計画中の伽藍を合計すると、床面積は1000㎡を優に超えます。
床面積の合計が1000㎡を超える木造建築を境内に建てる場合、注意しなければならない法律があります。
それは、【 建築基準法施行令 第128条の2 大規模な木造等の建築物の敷地内における通路 】 です。
災害時の避難が安全に、消火活動が容易に行えるようするための法律です。
簡単に説明すると…
①木造建築の床面積が1000㎡を超える場合・・・その周囲に幅1.5~3m以上の通路を設けなければならない。
②同じ敷地に2棟以上の建物があり、その合計が1000㎡を超える場合・・・1000㎡以内毎に建物を防火区画し、その周囲に幅員3mの通路を設けなければならない。
③通路は、敷地に接する道路まで達すること
※通路には、障害物も認められないので樹木を植えることもできません。
今回の計画では、建物の床面積の合計が1585㎡になり、②の適用を受けるので・・・
計画本堂・位牌堂と既設の客殿・茶室の間に、3m以上の通路を設けなければいけません。
計画本堂・位牌堂と既設の客殿・茶室の間に、3m以上の通路を設けなければいけません。
しかし、通路には渡り廊下が造れないうえ、中庭の樹木も伐採する必要があります。
そこで・・・
条文の‘だだし書き’を利用し、問題を回避することにしました。
条文の‘だだし書き’を利用し、問題を回避することにしました。
以下、ただし書き
主要構造部が耐火構造の部分を含む場合で、その部分とその他の部分とが耐火構造とした壁又は特定防火設備で区画されているときは、その部分の床面積を除く。
主要構造部が耐火構造の部分を含む場合で、その部分とその他の部分とが耐火構造とした壁又は特定防火設備で区画されているときは、その部分の床面積を除く。
簡単に言うと、燃えない構造の部分は、床面積から除外してもいいということです!
A:計画本堂の地階部分は鉄筋コンクリート造とし、開口部にも特定防火設備を設ける。
B:計画位牌堂は木造ですが、耐火建築物で設計する。
※平成30年の建設省告示の改正で、木造耐火建築物が造りやすくなりました。
弊社には、木造耐火建築物の実績が数多くあります。
弊社には、木造耐火建築物の実績が数多くあります。
A,Bの対策をすることで、建物群を855㎡と300㎡にわけることができました。
幸い、既設庫裡と会館の間には、公道へ続く幅3m以上の通路があるので・・・
この通路を敷地内通路として活用することが可能になりました。
お寺の境内には通常、複数の木造伽藍が建ち並んでいます。
その境内に伽藍を新築、増築するに当たっては、多くの法律をクリアすることが必要です。
その境内に伽藍を新築、増築するに当たっては、多くの法律をクリアすることが必要です。