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2017.3.21

毎年恒例リーダー研修 金沢で日本建築の意匠や構造を体験(前嶋)

2017.3.21

Category: トピックス

3月3、4日は 所長の菅野とリーダー3人で毎年恒例のリーダー研修。
今年は金沢を訪ねました。

研修の意義は、同じ建築を体験し意見を交わすことで、意匠や構造の知識を共有し、それぞれが蓄積できることです。

また、日本建築の意匠には定石があるとはいうものの、一捻りしたり、あえて崩したり・・・
気候や土地柄、歴史で変化したり・・・
造り手の意図や変化の原因をその場で一緒に探る作業は、新たな創造にもつながります。




【浄土真宗本願寺派金沢別院-山門】

黒い唐破風屋根が大きく曲線を描いており迫力があります。

蓑甲(みのこう)と呼ばれる、軒先が落ち込む部分が急勾配になっています。軒先に雪が積もって、垂木に荷重がかからない工夫でしょうか。

瓦の黒は釉薬による発色で、三州瓦や美濃瓦のいぶし銀色とは異なる力強い美しさがあります。




【尾山神社】

門は、和漢洋折衷の塔状の外観。
そして、一層目は『袴(はかま)腰』と呼ばれるデザインです。

現在、神奈川県で設計中の門の一層目も、同様の『袴腰』にします。ちょうど意匠や構造の検討中だったので、とても参考になりました。

なるほど・・・。先人も苦労しているようですが、うまく納めています。




【蓮昌寺】

金沢三大仏に数えられる、釈迦如来像が祀られています。

天井近くの窓から光が差し込み、お釈迦様の顔が浮き立っています。

西方をお向きになっているので、夕方は黄金色に輝くのではないのでしょうか?
光の採り入れ方に感心しました。

伽藍は土蔵造りで、幾何学的に配された柱や貫が「構造」と「意匠」を兼ねており、とてもきれいです。






【井波別院瑞泉寺】

南砺市井波町は、瑞泉寺の門前に発達した彫刻の街です。
瑞泉寺の伽藍は見事な彫刻に彩られ、歴代の腕自慢が技を競った様子がうかがえます。

住宅から和室が消え、欄間の需要が激減した現在、井波彫刻の仕事は減る一方だと聞きます。

しかし、現在でも寺院彫刻を手がけている工房は多く、弊社設計の本堂の彫刻も、何度かお願いしています。
また、全国各地で活躍している彫刻師の多くもこの地で修業時代を送っています。

寺院伽藍は、長く、彫刻や絵画とのコラボレーションの場になってきました。弊社では、その歴史に立ち返り、彫刻師の「技」が活かせる設計を心掛けています。


この他にも、
・群青色の壁が美しい『成巽閣』
・鉛瓦が葺かれた『金沢城』
・忍者寺といわれる『妙立寺』
・水に浮かぶように建つ『鈴木大拙館』
・美しい庭の武家屋敷『野村家』
など、魅力的な建物を体験しました。

この体験がすぐに活かせないとしても、自分の中で熟成され、咀嚼され・・・
新しい発想、着想につながる日が楽しみです。

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