2018.8.10
「本堂の耐震診断」を55万円、2日間の調査は85万円に改定いたします(菅野)
2018.8.10
Category: 耐震補強
2005年、岐阜市の臨済宗僧堂 瑞龍寺の清田老師から、本堂・庫裡の耐震診断を依頼されたおかげで、土壁の粘りを耐震力として評価する「限界耐力計算法」に出会いました。
「限界耐力計算法」は伝統的な木造本堂の耐震設計に最も適しています。
しかし当時は、正確に理解しているのは研究者に限られていたので、耐震診断及び補強工事の構造計算は委託し、補強方法の検討にも協力を仰ぎました。
その後、弊社も「限界耐力計算法」を身につけようと、講習会に参加するなど研鑽に勤めました。
そうこうしているうちに、本堂の耐震補強を急ぐお寺が急増してきました。
ところが、建築基準法には、平屋建てで一般住宅より重い本堂の構造計算方法は示されていない上に、新築では必要な、建築確認申請を受ける必要がありません。
そのため、根拠が怪しい耐震補強がまかり通り、寺院設計を職業とする建築士としては、放置できない状況と判断し・・・
「本堂1棟の耐震診断を38万円で行います。耐震補強は先ず、耐震診断をしてからにしましょう」と告知を始めました。2010年のことです。
その後、予想以上の好評をいただき、現在まで耐震診断した本堂は30か寺を超えるまでになりました。
最近では、国の登録有形文化財や県指定文化財、市の景観重要建造物などの耐震診断も依頼されるようになりました。
2015年に完成した浄土真宗本願寺派 岐阜別院の大本堂の耐震補強では、岐阜県立森林文化アカデミーにお願いし、補強前後で実験を行い、その効果を数値化することができました。
設計時からいろいろなアドバイスをしてくれた小原准教授からは、「限界耐力計算法」による耐震補強に取り組む弊社の姿勢に対して、高い評価もいただきました。
実は・・・耐震診断料の38万円という料金設定の根拠はとてもアバウトでした。
本堂の現況調査を通じて、スタッフ達が伝統的な日本建築の構造を学ぶこと、耐震診断の実績を作ること、診断の後に補強の設計を依頼してもらうことを優先した料金設定だったので、殆どが採算割れでした。
しかし、スタッフの経験は豊かになり、実績やノウハウも充分蓄積できました。最近では、同業者から「菅野さんが耐震診断を安くやってしまうので・・・」と、苦情も耳に入るようになってきました。
そこで、2018年8月10日より・・・
「耐震診断」を菅野企画設計の業務のひとつとして位置づけ、今後も責任を持って続けていける料金に改定いたします。
大幅な値上げになりますが、ご理解ください。