2018.12.11
愛知県稲沢市の真宗大谷派 教圓寺で築82年の庫裡耐震改修が完成(伊藤知)
2018.12.11
Category: 耐震補強
愛知県稲沢市の真宗大谷派 教圓寺様の庫裡耐震改修工事が完成しました。
庫裡は築82年の木造二階建てで床面積が約277㎡(84坪)。この地方独特の凸造りです。
工事は、江南市の(株)松井建築にお願いしました。
耐震診断を行った結果、地盤増幅率が大きいことも影響し・・・・
土壁の粘りだけでは、充分な耐震強度が得られないことが判明しました。
そこで、べた基礎を新設した上で、筋交いによる補強も併用することで耐震強度を確保しました。
耐震改修では、屋根を軽量化するため、土葺きの瓦葺きからビス止めに変えました。
葺き土を撤去してみると、棟が大きく湾曲しているという想定外もありましたが・・・
現場監督を始め、大工が手間を惜しまず、下地をしっかり調整した上で、瓦を葺き直しました。
また、同時に断熱改修も行いました。
外壁に断熱材を充てんし、建具は複層ガラスを嵌めたアルミサッシに交換しました。
現況調査で、劣化の著しい柱や、増改築の繰り返しにより危険な状態になっている柱や梁を発見しました。
耐震補強と同時に、そういった構造材を取り換えたり、修繕する必要もありましたが・・・
ここでも、現場監督はじめ大工が手間を惜しまず、丁寧に作業を進めてくれました。
「お寺にトラックが突っ込んだらしいと、近所で噂になったんですよ」は住職。
そのくらい、危なそうな構造材は取り替えました。
間取りは大きく変えませんでしたが・・・
配膳室には12.5畳の広さを確保。業務用のコンロや調理台を新調し、清潔で機能的に改修しました。
北側の道路沿いには、長年親しまれてきた大谷石の塀が続いていましたが、大きな地震には耐えられない構造でした。
そこで、大阪府北部地震の二の舞にならないように、竹垣のフェンスにつくり替えました。
和室は畳の表替え、漆喰の塗りなおし、建具の修繕やクリーニングを行いました。
建て起こしで柱の倒れを矯正したため・・・
建物の傾きに合わせて、何度も加工された引き戸の肩には、付け木を打つ必要がありました。
「柱が相当倒れていましたし、差し鴨居もたわんでいましたからねえ」は現場監督。
古民家再生には、古いものを大切にする職人技が絶対に必要です。
完成後間もなく、前嶋チームが見学したいというので一緒に訪れると・・・家具の配置を試行錯誤されている真っ最中でした。
「この地域では、変わった風習があるんです。普請が終わると、便所でお抹茶とお菓子を頂く ‶便所開き” を行うんです。一緒に如何ですか?」と住職。
初めて聞いた言葉なので、びっくりしましたが・・・健康祈願と、お便所も含めて家を大切にしようという気持ちの表れのようです。
これから30年、50年と大切に使われていくことに思いを馳せ、とてもありがたく頂きました。
庫裡は築82年の木造二階建てで床面積が約277㎡(84坪)。この地方独特の凸造りです。
工事は、江南市の(株)松井建築にお願いしました。
耐震診断を行った結果、地盤増幅率が大きいことも影響し・・・・
土壁の粘りだけでは、充分な耐震強度が得られないことが判明しました。
そこで、べた基礎を新設した上で、筋交いによる補強も併用することで耐震強度を確保しました。
耐震改修では、屋根を軽量化するため、土葺きの瓦葺きからビス止めに変えました。
葺き土を撤去してみると、棟が大きく湾曲しているという想定外もありましたが・・・
現場監督を始め、大工が手間を惜しまず、下地をしっかり調整した上で、瓦を葺き直しました。
また、同時に断熱改修も行いました。
外壁に断熱材を充てんし、建具は複層ガラスを嵌めたアルミサッシに交換しました。
現況調査で、劣化の著しい柱や、増改築の繰り返しにより危険な状態になっている柱や梁を発見しました。
耐震補強と同時に、そういった構造材を取り換えたり、修繕する必要もありましたが・・・
ここでも、現場監督はじめ大工が手間を惜しまず、丁寧に作業を進めてくれました。
「お寺にトラックが突っ込んだらしいと、近所で噂になったんですよ」は住職。
そのくらい、危なそうな構造材は取り替えました。
間取りは大きく変えませんでしたが・・・
配膳室には12.5畳の広さを確保。業務用のコンロや調理台を新調し、清潔で機能的に改修しました。
北側の道路沿いには、長年親しまれてきた大谷石の塀が続いていましたが、大きな地震には耐えられない構造でした。
そこで、大阪府北部地震の二の舞にならないように、竹垣のフェンスにつくり替えました。
和室は畳の表替え、漆喰の塗りなおし、建具の修繕やクリーニングを行いました。
建て起こしで柱の倒れを矯正したため・・・
建物の傾きに合わせて、何度も加工された引き戸の肩には、付け木を打つ必要がありました。
「柱が相当倒れていましたし、差し鴨居もたわんでいましたからねえ」は現場監督。
古民家再生には、古いものを大切にする職人技が絶対に必要です。
完成後間もなく、前嶋チームが見学したいというので一緒に訪れると・・・家具の配置を試行錯誤されている真っ最中でした。
「この地域では、変わった風習があるんです。普請が終わると、便所でお抹茶とお菓子を頂く ‶便所開き” を行うんです。一緒に如何ですか?」と住職。
初めて聞いた言葉なので、びっくりしましたが・・・健康祈願と、お便所も含めて家を大切にしようという気持ちの表れのようです。
これから30年、50年と大切に使われていくことに思いを馳せ、とてもありがたく頂きました。