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2018.3.2

和風のウンチク:脇床の違い棚「筆返し」について(菅野)

2018.3.2

Category: 知って得する和の技

格の高い床の間には脇床を設けます。
脇床には地袋、天袋や違い棚をしつらえ、そのデザインを楽しみます。


△虎渓山永保寺書院

違い棚には「筆返し」をつけます。
「筆返し」とは、筆がころころ転がって、板の端から落ちるのを防ぐもの。なかなか素敵な命名ですよね。

「筆返し」には鳩胸、返浪、立浪などいろいろなデザインがありますが・・・

以前、国の重要文化財に指定されている代官山 旧朝倉邸で変わった「筆返し」を見つけました。早速、設計中だった和室に採用してみましたが、誰も反応してくれなかったので、ちょっと寂しく思いました(笑)。


△旧朝倉邸

最近は、大量生産の「筆返し」が出回っていて・・・・話題になった時代劇映画のセットにまで使われていたので、驚くと同時にがっかりしました。

どんなデザインか?お知り合いのお宅に使われているかもしれないので、公表は控えます(笑)。

「筆返し」は、一般的には鳩胸でデザインしますが・・・違い棚に合わせて、樹種を変えたり、一本一本複雑な形を彫り出します。だから、気の利く銘木屋にお願いする必要があります。



写真は、「筆返し」と違い棚の断面です。手の込んだ細工がよくわかります。

板の小口に嵌め込んである栓は、「端ばみ」と呼ばれています。小口にもきれいな杢目を見せることと、板が反らないようにする役目があります。

以前、安土桃山時代の建物を拝観した折、厚15mm程度の違い棚の小口にまで「端ばみ」が加工されているのを発見しました。当時の大工の美に対する執念に、唸りました。


△鳩胸の「筆返し」

「筆返し」の大きさはどの程度がいいのか?指南書はいろいろ出ていますが・・・あまり気にしないほうがいいと私は思っています。ちなみに・・・

「菅野さんは少し大きめがお好きですよね」銘木屋にはそう言われています(笑)。

 

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