古民家の「悩み」と言えば、「寒さ」をあげる人は少なくありません。
古民家は、開放的で風通しの良い造りなので夏は涼しく過ごせます。
しかし、逆を言えば、冬は寒いというデメリットとなっています。
例えば築80年ともなると、断熱材が施工されていることは、まずありません。
ましてや、建物が傾き、柱と建具の隙間から外気が侵入してくるので、寒いのは当たり前です。
そんな悩みを解消するのが、断熱リノベーションです。
〈床の断熱〉
断熱の要は、熱や寒気の侵入を防ぐこと。
新築の場合、菅野企画設計では、
基礎断熱を採用しています。
基礎の立ち上がり壁の内側に断熱材を貼り付けた後、気密パッキンや気密シートを施工して、
床下に冷えた空気が入らないようにします。
しかし古民家は、土台や柱が礎石の上に載っていることが多いので、基礎断熱はできません。
そこで、根太の間に断熱材をはめ込み(床下断熱)、
その上に気密シートを敷き込むことで、床下の冷えた空気が室内に侵入しないようにします。
〈天井(屋根)の断熱〉
天井は、天井裏に断熱材を敷き込む、もしくは屋根の垂木の間に断熱材をはめ込むのは、
新築も改修も同様です。
こちらも隙間なく敷き込むことが大切です。
〈外壁の断熱〉
残るは外壁の断熱です。
新築の場合は、壁の中に断熱材を充填する(充填断熱)方法が、一般的です。
しかし、古民家の外壁は、土壁が塗られていることが多く、充填断熱はできません。
そこで、耐震要素として大切な土壁を残したまま断熱材を貼り付ける、外張り断熱を採用しています。
外張り断熱は、建物の外側を断熱材ですっぽりと包み込む方法です。
そのため、柱や梁が外壁に隠れ、見た目が変わります。
とは言え、採用する仕上げ材によっては、和風のデザインを継承することが可能ですし、室内には、歴史を重ねた差し鴨居や柱が露出するので、古民家ならではの雰囲気はそのまま残ります。
耐震改修工事は、瓦を葺き替えたり、床組を作り直すために床板を剝がしたりするので、
断熱リノベーションを行う絶好のチャンスです。
耐震改修をお考えの場合は、ぜひ断熱リノベーションも行うことをおススメします。