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2017.10.24
古民家のリフォーム。不同沈下をジャッキアップで矯正!(伊藤絵)
歴史を重ねた住宅のリフォームのご相談を受け、現況調査を行いました。
木材は良質で、大工の手が十分入っている建物です。
現況調査の結果を図面化し、社内で検討しました。
「柱が同じ方向に向かって傾いている!これはおかしい。老朽化による柱の傾きなら、渦巻き状になるはず。柱が傾いた原因があるんじゃないか」
そこで床の不陸調査をチェックすると・・・東から西に向けて7cm下がり、柱もその方向に傾いています。
原因はわかりませんが・・・建物が不同沈下したようです。
お客様にその結果を報告し・・・
耐震補強工事に加えて、建物を水平に矯正する工事を行うことになりました。
このお宅の耐震診断および補強設計は、土壁の粘りを耐震力として利用する「限界耐力計算法」を採用しました。「限界耐力計算法」で補強を行う場合、基礎は補強しないことが多いので、ジャッキアップすることは稀です。
しかし・・・
今回は、建物をジャッキアップして、沈みを矯正すると同時に、再度の不同沈下を防ぐ工事が必要になりました。
建物
のジャッキアップは、基本的には自動車のジャッキアップと同じ「持ち上げる」行為です。
しかし、建物の場合は、大きく傾けると壊れてしまうので、ゆがみが生じないように行う必要があります。
そのため、高度な技術をもつ専門業者にお願いします。
△
柱の足元を鉄骨で固め、少しづつジャッキアップしていきました。ゆがみが生じないように、柱を斜め材で補強して作業を行いました。
△高さを計測しながら、慎重に作業を進めました。
柱は、コンクリート造の壁状の基礎の上に立っていました。
基礎の接地面積が小さかったことも不同沈下の原因のひとつだと考えられます。
将来、再度の沈下が起きないように、既設の壁状基礎を利用して、L型の基礎を造りました。
お客様は、建物が不同沈下していることに気づいておられませんでした。
日々の生活には支障のない程度の沈下だったのかもしれません。しかし・・・
この秀逸な民家が長く残っていくためには、ジャッキアップは欠かすことのできない工事でした。
工事費が増加するにもかかわらず、お客様が弊社を信頼し、アドバイスに従ってくださったこと、とてもうれしく思いました。
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