コラムColumn
2016.12.6
構造用金物の検査。大地震でも壊れない家を造る(植松)
愛知県稲沢市で木造2階建て住宅を新築中です。
工事は、一宮市の賀真田工務店にお願いしています。
現在現場では、屋根葺工事と耐力壁(筋交)を取り付ける工事が進んでいます。
「筋交と構造用金物の取付がすべて完了しました!」
現場監督から連絡が入ったので、早速、検査を行いました。
検査では、筋交の位置や材の大きさ、樹種、死節のないことを確認します。
また、ひとつひとつの構造用金物を確認していきます。
設計図で指示した種類の金物が使われているか?
固定する釘の本数や使用方法に誤りはないか?
検査の結果、金物の種類が間違っている個所があったため、取り替えを指示しました。
熊本地震では、新耐震基準:1981年以降に建てられた住宅にも、被害が出たことが大きな話題となりました。
現在の建築基準法に問題があるのでは?耐震基準のさらなる改正が必要なのでは?
いろいろな議論を呼びましたが、調査が進むにつれ、いくつかの原因が明らかになってきました。
被害にあった住宅は・・・
・1981年~2000年に建築された住宅であった
1981年に、建築基準法の耐震基準が大きく見直されたことは広く知られていますが・・
阪神淡路大震災を契機に、2000年にも見直しが行われました。
主な内容は・・・
〇耐力壁をバランスよく設けること 〇構造用金物の使用方法の明確化です。
したがって・・・
1981年~2000年に建てられた住宅には、耐力壁がバランスよく配置されていない。構造用金物が使われていない、使い方が間違っているなど、現在の建築基準法に適していないものも多いのです。
・建築基準法の耐震強度ギリギリの設計であった
現在の建築基準法に従って住宅を建てれば、大地震がきても倒れない!と思われている方が多いかもしれません。しかし、現行法で求める耐震強度は、中規模程度の地震(震度5強程度)に対して損傷しない、大規模な地震(震度6~7程度)に対して崩壊しない最低限の基準にすぎません。
新築後の老朽化、蟻害などで強度が劣化すれば、被害を受けやすくなります。
・壁の配置が悪い
壁直下率(2階の壁と1階の壁が直下にある割合)や、柱直下率(1階の柱が2階の柱の直下にある割合)が低い建物は、構造的に弱くなります。しかし現行法では、守るべき数値が決められていません。
・水平剛性が低い
屋根や2階床の剛性が低いと、地震力を受けた時、梁と梁の接合部が壊れ、筋交いなど耐震壁に力を伝えることができません。しかし現行法では、水平剛性の規定がありません。
菅野企画設計では、以上を踏まえて・・・
建築基準法の1.25倍に相当する耐震力を標準仕様にすると同時に、壁直下率や柱直下率、水平剛性も考慮して、ひとつひとつの住宅を設計しています。
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