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2018.10.9
愛知県稲沢市で築80年の古民家を耐震改修。技と工夫で工事中!(伊藤知)
今年の4月より、愛知県稲沢市で築80年の古民家の耐震改修工事が進んでいます。
建物は床面積が約277㎡(84坪)、屋根は切妻のいぶし瓦葺き。
2階の天井を低く抑えた、この地方独特の凸造りです。
工事は、江南市の(株)松井建築にお願いしています。
耐震診断・実施設計を進めながら、何度も現況を調査しました。
その結果、2階の隅柱の直下に柱がなかったり、梁の掛け方が不自然だったり、細い柱に鉄骨の補強梁が接続されていたり・・・
構造的に危険な個所が見つかりました。
耐震改修工事では、先ずこういった危険を取り除いてから
、補強に移ります。
難しい施工が予想されたので、現場監督と工事手順を十分に検討してから現場に臨みました。
ところが、土葺きの屋根瓦を撤去してみると。。。早速、想定外が発生!
屋根の頂部が水平方向に湾曲しています。
棟瓦の天端が水平だったので、調査ではこの歪みに全く気付きませんでした。
小屋裏からその原因を探ってみましたが。。。
「大工が墨付けを間違えたのかもしれませんね」は松井建築の社長。
棟が歪んでいるのに、美しい屋根に仕上げた瓦葺き師の技術には感心するばかりですが。。。
それは土葺きだからこそできること。
屋根を軽量化するため、瓦をビス止めする場合は、下地の歪みが仕上りに現れてしまい、職人技での修正は困難です。結局、新しい棟木に取り替えてから、野地を調整することになりました。
2階の隅柱直下に柱がないことと、梁を補強している
鉄骨梁を支える柱が非常に細く、不安定!を解決する方法は?
①鉄筋コンクリート造の基礎を造る。
②
鉄骨梁を撤去し、
丸太梁の
交差部(2階隅柱の直下)を新しい柱で支える。
③新しい壁を設け、柱を補強する。
ことにしました。
おや?ここで「北風と太陽
」みたいなことが。。。
新しい
柱を建てるためには、コンクリートの基礎をつくる必要がある
→
しかし、基礎を作るためには周囲の柱・壁を解体する必要がある
→
しかし、柱・壁を解体すると丸太梁が落下するので、先に新しい柱を建てる
必要がある
→
新しい柱を建てるためには、コンクリートの基礎を。。。
これって、本当に出来るの?
この難問を松井建築は見事に解決!
写真の通り、基礎の上に柱が建ち、丸太梁を支えています。
しかし、さすがにこの時だけは「どうか地震が起きませんように」と祈るばかりでした。
この後、柱周辺の耐震壁を新設して。。。台風が到来する前には外壁を造ることができました。
11月の引渡しに向けて、あとひと頑張りです。
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