設計日和 菅野企画設計の「和」「木」「匠」情報

設計日和 菅野企画設計の「和」「木」「匠」情報

大切に住み継がれてきた家の耐震・快適リフォーム完成!

2018.07.06  Category: 特集ページ

「ハウスメーカーや工務店にも相談したんですが・・・この家の価値をわかってもらえないように感じてねえ」と、50代のご夫婦が来社されました。

早速、菅野と植松がお宅を訪ねました。
「素晴らしいですねえ。良質な木材が使ってあるし、大工も丁寧な仕事をしていますよ」

建物は築約80年の2階建て。
大黒柱はケヤキの30cm角柱、建具の上には高さが40cmを超える松の差し鴨居、踏み天井には幅30cm以上の松の一枚板が、歴史を経て黒光りしています。

「この家は是非、残してください」


「以前、市の無料耐震診断を受けたことがあるんですが・・・結果は、”倒壊又は大破壊の危険があります”でした」と苦笑いするご主人。

「市の無料耐震診断は、”壁量計算”で診断するので・・・基礎のない土壁造の家は、倒壊か破壊する判定になります」そこで・・・

基礎がなくても、土壁の粘り強さを耐震力として評価する「限界耐力計算」による耐震診断をお勧めしました。

「調査、診断の費用は25万円必要ですが、この建物の本当の耐震力がわかりますよ。耐震補強は、その結果を踏まえて行うべきです」




早速、伊藤・前嶋・植松・大江がお宅に伺い、
床下から小屋裏まで丸いちにちを掛けて現況調査を行いました。
そして、図面化と構造計算を行い、耐震診断報告書及び補強案にまとめました。

 
改修前

改修後

田の字型間取りの和室は、フローリング貼にして18帖のLDに生まれ変わりました。
柱や差鴨居、天井板は、歴史の味を損ねないように、水拭きクリーニングに留めました。

 



今まで、母屋にはキッチンがなく、DKは別棟でした。
そこで、LDに隣接してキッチンを設けました。
キッチンは応接間にも隣接しているので、お茶出しもスムーズです。




LDとキッチン境には、和室境に使われていた帯戸(おびど)を再利用しました。
また、食器棚を造り付けにして、土間と和室境の建具を食器棚の扉に。
ガラスは、おしゃれな「チェッカーガラス」に変えました。




狭くて使いづらかった洗面台は、収納付きで幅1.5mの広々洗面台に変身。
壁には、透明感のあるガラスタイルを貼りました。

 



現況調査の結果、東側から西側に向けて、建物が約7cmの傾いていることが判明しました。
そこで・・・
建物をジャッキアップして、水平に矯正しました。



△市の補助金を受けるための中間検査

耐震補強のため、新設した壁には「荒壁パネル」を使用しました。
「荒壁パネル」は工場生産のボードですが、地震時には、土壁と同等の粘り強さを発揮します。

この補強工法で、市の耐震改修補助金をうけることができました。

 
「隙間風が入ってきて寒いので・・・断熱改修もお願いしたいです!」は奥様。

構造材を見せる和風のインテリア、土壁を耐震力に活かすことを考慮して・・・
外断熱工法を採用することにしました。




柱と土壁の外側に断熱ボードを張り、ジョイント部分は気密テープでふさぎました。これで、建物の外壁は断熱材ですっぽり覆われたことになります。

外壁には、”焼きっぱなしの焼杉板”を貼りました。

お客様ご夫婦は以前、ハウスメーカーの古民家再生をご覧になって・・・
「トタン張りだったんですよ。がっかりしちゃってねえ。わが家は、自然素材でお願いします!」

杉板の柿渋塗りや焼き杉板など、いろいろな仕上げをご提案し、お客様に選んでいただきました!



 


「玄関の式台は、せっかくなら一枚板を!」はご主人。

その希望を叶えるため・・・
銘木屋の協力で、この家にぴったりの本桜の一枚板をご用意できました。

上り框も本桜で統一でき、玄関の格がぐっと上がりました。

改修前

改修後

玄関の壁は、ちょっと色っぽいベンガラ色に。
「派手すぎたかな?と心配したけれど、いい感じ!に仕上がりました。」と笑顔のご夫婦。

 

改修前

改修後

2階には、12畳敷きの和室がありましたが、
「今後は座敷としてではなく・・・サブのリビングで使えたらいいね」とご夫婦。
そこで・・・
和室の設えを生かしたまま、床や家具は洋風にコーディネート。
こんな遊び心が楽しめるのも、古民家再生ならでは!です。