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2019.5.21

大阪市で3階建て住宅。鉄骨造?木造?を決めるポイント(川島)

2019.5.21

Category: 客殿・庫裡新築

大阪市内のお寺で、鉄骨造3階建て、床面積約180㎡(54坪)の住宅兼会館の新築工事が進行中です。

敷地は本堂とお墓、道路に囲まれており、以下に示すような形状です。
 
 
この敷地に、お客様のご要望を盛り込むためには、3階建ての建物になりそうです。

採用するべき構造を考えると・・・

鉄筋コンクリート造は工事費が高くつく上に、柱が太くなりすぎて現実的ではありません。

残るは鉄骨造か木造ですが・・・

最近は、国が日本産の木材の活用を推進しているため、木造建築に対する規制が緩和されています。
そのお陰で、木造3階建てが以前より容易に造ることができます。

 

 
まずは、耐震強度の確保について

木造の場合

建築基準法で壁量計算の方法が示されているので、それに基づいて、各階X,Y方向について必要な耐力壁の長さを求めます。

ただし、3階建ての1階部分に必要な壁量は、平屋建ての約3.3倍を確保しなければなりません。


 
 
そのため、窓の大きさや配置、間仕切り壁の位置に大きな制約を受けます。

 


鉄骨造の場合

建築基準法に従い、一棟一棟構造計算します。
柱の断面は20cm角から30cm角程度で、木造の12cm角から15cm角より太くなりますが・・・
耐力壁を必要としませんし、床に鉄筋コンクリートを打てば、間取りはかなり自由です。



次は、施工面について

一般的には、鉄骨造の方が木造より広い作業空間を必要とします。
 
鉄骨造は木造より重いので、杭や基礎、地中梁など建物を支えるための工事が大規模になります。
長い杭を必要とする場合、周辺道路の状況によっては施工が困難になることもあります。

また、鉄骨の建て方には、木造より大きなレッカーを用いることが多いので、道路が利用できない時は空地を確保する必要があります。


▲木造に比べて鉄骨造の建て方には、一回り大きなレッカーを使います
以上を考慮した結果・・・

・木造は、施工面とコスト面で優れていると考えられるが・・・開放的な間取りができない。

・鉄骨造は工事費が高くなるが・・・なにより間取りの自由度が大きい。幸い、幅8mの道路に接道しているため、杭の搬入、レッカーの使用も可能である。


という理由で、鉄骨造を採用することになりました。

ところが・・・
施工の難易度が予想以上に工事費を押し上げ、オリンピックの影響で鋼材が高騰。
建設会社の見積りは、お客様のご予算をはるかにオーバーしてしまいました。

早速、減額案の作成に取りかかりましたが・・・今迄築いた信頼関係もあって、建設会社が想定以上に減額してくれました。さらに、お客様にも歩み寄っていただき・・・なんとか着工に進むことができました。

現在工事は、6月末の完成に向けて順調に進んでいます。

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