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2018.12.4

岐阜市の浄土宗寺院本堂の耐震診断。現況調査で大工の工夫を知る

2018.12.4

Category: 耐震補強

11月上旬、岐阜市の浄土宗寺院様よりお電話をいただき、早速所長の菅野が伺いました。
すると・・・
「本堂の瓦の葺き替えを計画しているのですが、同時に耐震補強もした方がいいのでは?という意見が出まして・・・」と住職。既に、屋根工事会社との契約を済ませたとのこと。

 
しかし・・・屋根の葺き替えと耐震補強は同時に行うべきです。

小屋裏作業や本堂をジャッキアップをするのは、瓦を除去した状態で行った方がはるかに効率が良く、足場の設置も1回で済むので、コストが抑えられるからです。

 
弊社のアドバイスを聞き入れ、耐震診断を依頼していただきました。

早速、福田、大江、長岡を同行し、現況調査に伺いました。


本堂は間口6.5間、屋根は入母屋造りの瓦葺きで、昭和初期に建てられたそうです。

到着早々気づいたのは・・・
屋根の隅木が両隅の柱ではなく、90cm内側の柱から軒先に伸びていることでした。

どうしてかな?と、小屋裏に登ると・・・

 
通常の本堂の小屋裏より桔木の本数が少ない!

桔木とは・・・本堂の深い軒を「てこの原理」で跳ね上げる丸太です。

この本堂では、桁と90cm内側の梁の上に垂木を渡すことで桔木を省略し、経済的な方法で軒先を支えています。

また、この方法のおかげで、本堂の深い軒下の一部を外陣として有効活用できています。

 

 
しかし、軒先が壁から1.3m跳ねだしています。

本当に大丈夫なのか?

屋根に上がって確認したところ、軒先の暴れはほとんど確認できませんでした。

耐震調査を重ねていると、建物ごとの違いを見つけ・・・当時の大工の知恵や工夫に触れることができます。

また、現況調査で、瓦とその下地に数多くの傷みを発見したので、瓦の葺き替えが必要な時期であることもわかりました。
 
その他、床下の状況、柱の倒れ、床の不陸、土壁など耐震要素の有無を確認しました。
調査結果を踏まえて、調査報告書を作成します。

報告書には限界耐力計算による耐震性能の評価と、それに基づいた補強方法の提案も記載します。
12月16日に報告会開催が決まっているので、作業を急がなくてはいけません。
リーダー 前嶋英孝

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