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2017.7.25

準防火地域に木造本堂。木造耐火構造の納骨堂。木造が身近に!(菅野)

2017.7.25

Category: トピックス

戦後、日本は、建物の不燃化を進めてきました。
町中で木造伽藍を造るためには、数々の規制をクリアする必要がありました。

ところが・・・最近は目に見えて、その規制が緩和されています。


建築基準法では、準防火地域内に500㎡以上の木造建築を造ることはできません。

町中の寺院の境内は、準防火地域に指定されていることが多く、全伽藍を木造で造ることには困難が伴いました。

本堂と他の伽藍の面積を合算すると、500㎡(150坪)を超えることが多いからです。



ところが・・・
床面積が500㎡以下の2棟の木造建築は、3m以上離隔し、その間に耐火構造の建物を挿入すれば、接続が可能になりました。

ということは・・・
本堂棟と客殿庫裡棟それぞれの床面積をを500㎡以下に抑えれば・・・
合法的に接続することができます。




準防火地域では、隣地境界線から3m以内の軒裏は防火構造にする必要があります。

従来は、本堂の化粧垂木や化粧野地板を木製にすることができなかったので、木造をあきらめざるを得ませんでした。

ところが・・・
軒裏に張る板の合計が3cm以上なら、木製でもかまわないことになりました。
また、化粧垂木も同じです。

町中の寺院は境内が限られていて、本堂を隣地境界に近接して建てることが多いので、この緩和処置は、木造で本堂を造りたいという住職には朗報です。


 
△木造耐火構造で新築中の龍珠寺納骨堂

最近、納骨堂新築のご相談が増えていますが・・・市によって建築基準が違うので、大変困っています。

例えば、名古屋市では耐火構造を求められるので、鉄筋コンクリート造の納骨堂が一般的です。

しかし・・・
現在名古屋市内で新築工事が進んでいる龍珠寺様の納骨堂は、木造の耐火構造です。

先日上棟式で、「名古屋市内で木造耐火構造の納骨堂は、龍珠寺様が初めてだと思います」とお話しすると・・・
「それは鼻が高いなあ」は参列者の皆様。

今後、木造耐火構造の納骨堂が増えるのではないかと思います。


日本は世界有数の木材資源国です。
ところが、建築に木材が使われなくなったため、日本の山は木で覆いつくされ、放置されています。

今回の九州豪雨で大量の大木が土砂と一緒に流れてきたのも、そのせいです。

木は、地球温暖化の原因でもある二酸化炭素を吸収する上に、植林を繰り返せば、永久に枯渇しない資源です。

寺院伽藍を造る時は是非、日本の木をふんだんに使ってください。
最近では桧も安価で、身近になっています。

豊かな環境と資源を次の世代に渡すのも、私たちの大切な役割です。

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