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2017.5.23

本堂の耐震診断依頼が増加。現況調査で潜在力を見極める(伊藤知)

2017.5.23

Category: 耐震補強

本堂の耐震診断のご依頼が続いています。

木造本堂の耐震診断、補強工事の実績が豊富な設計事務所は全国でも珍しいため・・・
最近は、遠隔地のお寺からも声をかけていただいております。

先日は、住職の熱心さに負けて(笑)、山口県のお寺へも出かけました!




菅野企画設計では、耐震診断に先立ち、現地調査を行います。

1.平面図・断面図・構造図を作成するため、現況を詳しく実測します。
 
2.構造的な問題点を写真で記録します。

3.柱の傾斜、床の不陸調査を行います。

以上の作業を男性スタッフ2人、女性スタッフ2人の計4人で手分けして行います。

作業量が多いため、調査は丸一日を要します。移動に時間がかかる場合は、現地に宿泊し、日をまたいで2日がかりの作業になります。



現地調査を行う目的は・・・
長い歳月を生きてきた本堂が
現在も持っている耐震力を
正しく見極めることだと考えています。

机上の構造計算だけで耐震力を把握するのは、とても危険です。


また・・・
その本堂に最も適した補強方法を見つけられれば、工事費を抑えることもできます。




現況調査では・・・
男性スタッフが屋根の上や小屋裏、床下の調査を担当します。

本堂は、屋根が大きいため、小屋裏の調査には時間を要します。また、床下が窮屈な場合は、懐中電灯と調査道具を片手に、匍匐(ほふく)前進の作業になるので、思いのほか時間がかかります。




男性スタッフの姿が半日以上見当たらないこともありますが・・・
決してひと休みしているわけではありませんので、勘違いなきようお願いします。


真夏や真冬の調査は、なかなかの重労働になります。
しかし、建物ごとに、構造や大工の仕事、木材の樹種は千差万別です。  

正確な耐震診断をするためには、見落としがあってはなりません。
ひと休みしている時間などはない!というのが、実は、現実です。

 
また、改修の履歴も、本堂ごとに違います。
構造的な問題点が起きていないか?なども調べ、記録に残します。

以前、茅葺き屋根の上を金属板で覆う、かぶせ屋根改修を行った本堂を調査したことがあります。

下の写真は、その本堂の小屋裏です。




改修によって、通気が悪くなったため、茅と構造材の腐朽が進み、ドライバーが刺さるほど劣化している丸太もありました。



改修工事がかえって、本堂の力を弱くしていた実例です。

このように・・・
現況調査をしっかり行った上で、耐震診断を行います。
補強方法の指針もご提案します。
口頭ではありますが、工事費の概算もお伝えします。

どんなご相談にも丁寧にお答えしますので、どうぞ気軽にお声かけください。

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